教育方針


 工学基礎教育センターでは、工学教育の原点は、基礎的な原理を使いこなして、問題を解決する能力を養成する事にある、との観点に立ち、各学科共通の基礎として不可欠な数学、物理学の密度の高い教育を目指している。論理的な思考に基づいて展開された理論を現実の応用に生かすために、理解力、思考力、想像力に代表される基本的な能力を養う目的で基礎教育を担当するのである。
 工業数学では主に2年次学生を対象にして、微分方程式1、微分方程式2、ベクトル解析、複素関数論を開講している。工学においては、分野を問わず基本的な定式化は、微分方程式の形をとることが多いので、これに習熟する事が重要である。特に常微分方程式は基本であるから、微分方程式1、2において講義されており、ほとんどの学科で必修科目に指定されている。さらにその発展としての偏微分方程式については、微分方程式特論で講義される。また、解析学の基本的知識として、ベクトルを値にもつ関数や複素数を変数とする関数の微分積分学も重要であり、それぞれベクトル解析、複素関数論において講義されている。3年次以降では、確率統計学、数値解析等を開講し、応用数理、計算機数学の基礎を講義している。
 工業物理学では、1年次における基礎物理学と連携して、2年次終了までに古典、および現代物理学の基礎が得られるようにカリキュラムを組んでいる。学科によって開講時期が異なるが、力学、電磁気学、熱力学を古典力学として修得出来るようになっている。力学では、運動の3法則からはじめて、解析力学としてのラグランジュの運動方程式まで、その歴史的発展を追って説明している。機械工学科では、機械力学等、力学の名のついた科目が多いことからも分かるように、力学が重要な科目であり、昭和52年以来、演習を15〜20人程度からなる班に分けて機械工学科の教官と共に少人数教育の形で行い、習熟に力を注いでいる。また現代物理学としては、不可欠な基礎である量子力学を中心に、物性物理学、統計力学等を開講している。工業物理学実験は以上の講義内容を体得するのに必要であり、2年次の必修科目に指定している。また、関連する学科の学生を受け入れて、卒業研究の指導も行っている。
 大学院博士前期課程においても、基礎的な事柄を使いこなす事ができるようにという観点から教育することに変わりはない。ただ、学部にあっては、基礎的な知識と考え方を教育する事に重点が置かれていたのに対し、大学院ではそうした基礎知識がどのように応用され、発展していくのか、また、複雑な工学的現象をどのように考えて把握するかを学ばせるのが中心となる。
 数学分野では工業数学特論1、2を開講し、線形および非線形数学の基礎理論としての常微分方程式論、数値解析学、また群論、環論、体論等の現代代数学や位相解析、ルベーグ積分論等の現代解析の基礎理論を講義している。
 物理学分野では、工業物理学特論1、2を開講しており、量子力学が材料の巨視的性質の解明にどう適用されているかを解説、また、広範な分野で利用されている核磁気共鳴の原理と応用を講義している。